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オリジナル創作ブログです。ジャンルは異世界ファンタジー中心。 放置中で済みません。HNを筧ゆのからAlikaへと変更しました。
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10、愛が重いと思うのは私だけか?

この世界の武器は、大きく分けると三つに分類される。
打撃武器。銃による狙撃。そして、使い手によってまったく違う効果を持つ魔法。それらを組み合わせて戦うのが主流となっている。

「私は、とりあえずこれにする」
私は近接戦に使う主力武器として、鋭さより頑丈さを優先した両手剣を選んだ。鋼鉄で出来てるから見た目よりもずっと、ずっしりと重い。

「おお、いーかもな。キーセは俺らより年上な分、体格がしっかりしてるから、重い武器も扱えるもんな」
クローツが賛成する。彼の使う双剣はこれに比べればかなり細く小ぶりだ。その体格から考えれば、この両手剣は重すぎて使い辛いだろう。
……単純に体格だけで考えるなら、私より小柄で細身なのに、明らかにこの両手剣より重くて大きい長戦斧を、身体の一部のように軽々と扱うフィーは、どう考えてもおかしいのだが。

他にも、鍔のない短刀も装備する。こちらは片手でも使用可能な代物だ。懐にしまえるサイズなので、いつでも持ち歩けて、いざという時心強い。
また、遠距離用に、長銃と片手で使える短銃の二種類を選ぶ。
メインは両手剣だが、もし片手しか使えないような状況になっても戦えるようにと考えて、この四種類の武器を選んだ。


「僕は視力と距離感覚にはちょっとした自信があってね。狙撃をメインにするよ。後衛は任せておきたまえ」
コリンは狙撃用の長銃を選んだ。私はそれを見て首を傾げる。
「眼鏡をしてるのは、目が悪いからじゃないのか?」
「これはお洒落だよ。わからないかい?」
「……わからなかった」(普通の丸眼鏡がお洒落って……)
私には彼のセンスがわからなかったが、今度は口を噤んでおいた。
コリンは銃の他にも、接近戦になった場合も考えて、ショートソードも装備した。

「私はこれにするわ」
ミルカは長銃とナイフを選んだ。
独自の武器を持っているクローツとフィーも、打撃武器だけでなく銃も使う。

武器を持ち歩くなんて、平和な日本で暮らてきた私には、それだけでかなり緊張する。誰かがいきなり銃を乱射したりしても、咄嗟に反応できる自信などない。
街中なら武器を持たない人も結構多いのだが、警備されていない街の外となればいつ魔物に襲われるかわからないので、武器携帯は当然なのだ。


全員が武器を選び終えると、次は防具も調える。
防具を保管してある部屋には様々な防具が置いてあったが、全身を覆う金属鎧のようなものは、あまりなかった。部分鎧や、特殊な素材の服が多い。
中には、魔法効果の宿った『魔導具』の類もある。

「魔導具には、種類も効果も様々なものがありますが、一人につき二つまでと貸し出し制限が決められています。よく考えて選びなさい」
「自分で元々魔導具を持っている場合はどうなりますの?」
フィーが両手を頬に当てて小首を傾げる。フィーの長戦斧も『切れ味の強化や全体の強度補強』といった特典がついた魔導具らしい。
「魔導具を二つ以上持っている生徒は、通常装備のみにするように。但し、付加価値が一定レベルに達していない品は制限に入りません。判定は私がします」
「なら俺、借りる必要ないや」
パム女史の言葉に、クローツが頬を掻く。
「俺、兄ちゃんから装備品全部用意してもらってあっから、補充用の銃弾だけでいーや」
「……」
その言葉に、全員がしばし沈黙する。多分、羨ましいとか呆れとかの感情で。
(……クロス教官の愛が重いと思うのは、果たして私だけか?)

私がイードとファーシアから貰ったリュックも、実は魔導具に分類される。
冒険中に重い荷物を持ち歩くのは大変なので、魔法と科学の結集によって中身を拡張され、大きさだけで見ても、外見の三倍以上の物が持ち歩ける代物だ。
(その手の魔導具は結構高価だ。短い付き合いだったのに、本当に貴重な物を貰ったのだ。彼らには感謝しないと)
私とフィーは一つしか魔導具を持っていないので、学校の備品も借りられる。

私は、貸し出される二つの魔導具をどれにするか、凄く悩んだ。
どうせ学校を出る時には返さなければならない借用品だ。便利すぎる物を選んでも、冒険者になった時に無ければ不便に感じるかもしれない。
だが、ここで良い品を選び損ねて、学校での訓練中に大怪我を負ったり死亡したりしたら、それこそ洒落にならない。
散々悩んだが、ともあれクローツ以外の全員が、魔導具を含めた防具を調えた。

私は、怪我をした際に魔力を注ぐと怪我の治療をしてくれる魔導具『癒しの指環』と、『衝撃緩和、耐熱耐火耐寒』などの特典のついた黒いジャケットを選んだ。命の保険と防御力を重視して。
他にも、魔導具でない通常装備として、合金製の部分鎧を。
……深く考えたくないが、身体が男になったものだから、下半身にも急所が存在する訳で。……まだそういう痛みを体感した事はないが、きっと想像を絶する痛みなんだろう。多分。
あと、肘と膝を保護するプロテクターに暗視ゴーグルも、しっくりくるのを探して装備した。

フィーは体力回復効果のある腕輪と、保温効果と衝撃緩和効果のある白いロングコートを。
コリンは体力回復リングと癒しの指環、それに通常装備で迷彩柄の防弾ジャケットと暗視ゴーグルを装備。
ミルカは、魔導具では体力増強リングと体力回復リングを、そして通常装備では焦げ茶色の皮製の部分鎧と暗視ゴーグルを選んだ。

「雨天時も想定して、雨避けの上着も選ぶように」とパム女史に追加され、フード付きのレインコートやポンチョを、それぞれの好みで選ぶ。
これで全員の装備が整った。


……私だけ、体力回復や増強といったアイテムを選んでいないのが些か不安だが、そもそも、下地をつくる為に養成学校にいるのだし、一人だけ年上なのだし、何とかなる……いや、なればいいなと、希望的観測を含めて思っている。


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8.5、皿洗いや皮むきの技術が向上した

食堂の下働きは今日で終わりだ。
ここの食堂は通常より価格設定が安めとはいえ有料なので、新学期が始まるまでの短い期間とはいえ、食費を浮かせられて良かった。
毎日、皿洗いや野菜の皮むきをしていたお陰で、下働きとしてのスキルも向上した。包丁の扱いも慣れて、特に芋の皮が短時間でスルスルむけるようになった。

それに、ここで働いていた間に食堂を切り盛りするおばさん達とも仲良くなれた。余ったデザートを分けてもらったりもした。役得だ。

授業が始まれば、下働きをするような余裕はなくなる。
昼は食堂か購買でお弁当を買って別の場所で食べるようになるし、野宿の訓練などで寄宿舎に戻れない日も多いらしい。
そういった話は応用コースの先輩方に聞いた。休暇中に寄宿舎に残っていた先輩達から、基礎コースの授業の内容を聞けたのだ。心構えが出来て良かった。


「あれキーセ君と同室の子達でしょ、皆可愛いねぇ」
「ほんと可愛いわ~」
「ああ、抱きしめたい~~っ」

食堂のおばさん達には、同室のメンバーが非常に好評だった。何せ、クローツは絶世の美貌だし、シェルもそれに然程劣らぬ美貌の上に、見た目が子供だから綺麗であると同時に可愛らしくもある。
……が、おばさん達にとっての一番人気は、外見の可愛らしさだけならば、どんな小動物にも勝るようなノルドだ。

彼は喋らせると高飛車だが、人間の赤ん坊よりやや小さめ、ふっくら艶々の肌に大きな目の幼児姿をした、お人形より可愛らしい小人族なものだから、おばさん達に大好評になってしまうのも頷ける。


歩く姿もちまちましていて可愛いし、椅子も普通の椅子では大きすぎると補助椅子を使ってる姿も赤ん坊みたいで微笑ましいし、小さなスプーンを使って食事する姿もまた愛らしい。
うちの同室の三人が揃って食堂に来ると、おばさん達も生徒も皆、ほわーっと観賞してしまう。
寄宿舎は男子と女子で建物が別で、食堂も別の構造だから余計、潤いや癒しを求める視線が彼らに集中するのだ。

私はまだ忙しく働いている最中で、食事も後で賄いを食べているから、彼らと一緒に食事はしていないのだが、下働き期間が終わったら朝晩の食事は同室の彼らと共にする事になるだろう。
が…………、正直、あの面子に混ざるのは非常に気後れする。

『理想の泉』で多少美形化されたとはいえ、結局はこの世界の標準かつ普通の範囲内の私が、あれに混ざると物凄く浮くに決まっている。
悪目立ちするのは嫌いなのに、あの面子に混ざってるだけで嫌でも注目されるに違いない。

私は、異世界人というプロフィール以外、特に目立つ所もない。
この国では赤、茶、金といった系統の髪の人が多いので、黒髪黒目は確かに少し珍しいが、エルフで銀髪のシェルとどちらが珍しいかと比べると、多分シェルの方が珍しいと思う。
私が注目を集めるとしたら、異世界人という経歴であって、見た目ではないのだ。
けれど、クロス教官からクローツの事をしつこいまでに頼まれているし、これから何ヶ月も同じ部屋で過ごす面子をあからさまに避けて、彼らと気まずくなるのも嫌だ。

目立つのも嫌だが、そこは妥協するしかない。
どうせ目立っているのはルームメイトであって私ではないのだと、心の中で割り切って過ごそう。


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漫画新刊

ワンピとバクマンの新刊が3月4日に発売です。どちらも楽しみに待ってました。
あとジャンプ関連で特に読みたいのは、今のところハンターの新刊ですかね。あれは気になります。





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