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空の翼

空の翼

オリジナル創作ブログです。ジャンルは異世界ファンタジー中心。 放置中で済みません。HNを筧ゆのからAlikaへと変更しました。
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「久しぶりだね、ヒース。女嫌いの君が女の子の弟子を取ったと風の噂で聞いて、興味が湧いて見にきたんだ。驚かそうと思ってこっそり覗いてみたら、とてもすばらしい戦いぶりで、こちらが逆に驚かされてしまったよ」

エディアローズが歩いてくると、ようやく、半透明な精霊たちの間から、当人の顔が見える程度になる。

(相変わらず女顔だ)

涼やかな声と爽やかな笑顔。淡い色の金色の長髪に、左右で色違いの瞳。
この男は、そこら辺の女など敵にならない程に、綺麗な顔立ちをした男だ。
男に綺麗などといった表現を使うのは気色悪いが、事実、誰がどう見ても、顔だけは良いのだ。


だが、この男は周囲の人間から怖れられ、忌み嫌われている。
精霊には、こんなにも過剰に愛されているのだが。

人に忌み嫌われる理由は、こいつのその色違いの瞳にある。
昔から、色違いの瞳を持つ者は、関わった者や近しい者を不幸にするとされてきているのだ。
特に、連れ添った伴侶をもっとも不幸にするとも言われている。

この国のみならず、大陸全土でその伝承は伝えられており、現代でも、色違いの瞳を持つ子が生まれたなら、親が子を捨てるのも当たり前と言われる程に、根深く残っている。

エディアローズは、右目が水色で左目が紫色の色違いの瞳を持って生まれた。
だが、その身分の高さゆえに捨て子とはならなかった。
それでも、実の両親にさえも忌避される「忌み子」として有名だ。
この国の第三王子は「不吉王子」という忌み名で、民に知られた存在だ。
シズヴィッドもその瞳を見て、相手がどんな存在か悟ったようだ。

「もしかして、エディアローズ・ユリウス殿下ですか?」

僕には訊かず当人に直接訊ねる辺り、伝承の瞳に怯えていなさそうだ。
少なくとも、あからさまな嫌悪や拒絶は見せなかった。
初見で、纏わりつく精霊の異常な量には動じたが、それ以降はまるで動じた様子を見せない。さすがは押し掛けで弟子になっただけあって、図太い神経の持ち主だ。

「そうだよ。こんにちは、はじめましてだね。僕を知ってくれてるみたいだけど、改めて自己紹介しようか。
僕はこの国の第三王子、エディアローズ・ユリウス・グリンローザ。お嬢さん、よければ君の名前も教えてくれる?」

エディアローズがふんわりとした微笑みを浮かべて、僕の新しい弟子を見る。
この男はこう見えてかなりの腹黒なのだが、知っていてもそうとは思いにくい、優しげで柔らかな笑顔である。

「スノウ・シズヴィッドと申します。はじめまして、エディアローズ殿下」

シズヴィッドが丁重な動作で礼をする。

スカートならば貴婦人特有の、両手で裾を持ち上げて頭を下げるお辞儀をしたのだろうが、こいつはいつもズボンを穿いている。
今日だって武術訓練をしていた事に関係なく、最初からズボンで屋敷にきていた。

貴族の息女らしい礼をするには格好が向いておらず、かといって王子相手では、僕にするように、軍隊式の敬礼もできない。
それでなのか、文官風の、胸に片手を当てて頭を下げる礼をした。

「ふふ、僕の眼を見ても動じないってすごいな。大抵の子は怯えてしまうのに。さすが、女嫌いのヒースに弟子入りを認めさせただけあって、豪胆だ」
「恐れ入ります」
「立ち話もなんだし、表の庭のテーブルに場所を移動して、お茶会でもしようか」
「客のおまえが仕切るな」
「いいじゃないか、僕とヒースの仲だもの」

どんなに綺麗な顔で笑い掛けられても、まるで嬉しくない。むしろ、その性格を知っていると寒いだけだ。

「どんな仲だそれは。僕はおまえとそこまで親しくした覚えはないぞ」
「相変わらずつれないね、ヒースは。シズヴィッド嬢、こんな堅物の男が師匠では、さぞ苦労している事でしょう」
「慣れましたから。それと私のことは、よろしければスノウとお呼び下さい」
「否定しろ、シズヴィッド」

まったくこいつは押し掛け弟子のくせに、態度がでかいにも程がある。
ちなみに僕がこいつを頑なに「シズヴィッド」と家名で呼び続けているのは、いくら弟子とはいえ、女の名を呼ぶのに抵抗があったからだ。
まあ女に限らず、エディアローズのような例外(家名のグリンローザは、この国の名前である)以外は、僕は大抵の相手を家名で呼ぶようにしているのだが。

「でも事実ですし」
「そう。事実だからね。ではぜひ、スノウ嬢と呼ばせてもらうよ。
嬉しいな、皆、僕に怯えて近づいてきてくれないから。名前で呼んでいいと言われるのは珍しいんだ」

初対面だというのに、この二人は妙に息が合っている。会話のテンポが非常に速く、僕が口を挟む隙がろくにない。
もしかしたら、図太いひねくれ者という点で、この二人はかなり性格が似ているのかもしれない。



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