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オリジナル創作ブログです。ジャンルは異世界ファンタジー中心。 放置中で済みません。HNを筧ゆのからAlikaへと変更しました。
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「魔界令嬢」 3、武器

「ウリ、宝石と人間界のお金と、ちゃんと交換できた?」
「できましたあ」
確認すると、ウリは嬉しそうに頷いた。
「すごいわウリ」
「えへへですう」
感心して褒めると、照れながらぴょんぴょん跳ねる。
ウリは最初に会った時からこんなふうに素直で、従者というよりは弟か妹みたいに思ってる子だ。実際の年齢も、わたしより下だし。
この子は前からおつかいで街に出かける事が多かったから、荷物の手配を任せたんだけど、問題なかったようでほっとする。
ウリは身軽な服装で、荷物なんて腰に提げたポシェットだけだけど、それは大丈夫。
ウリは自分の体内に無限の容量を入れておけるから。必要な荷物は全部、体内の異空間の中ってわけ。

「わたしも、武器はちゃんと持ってこれたわ」
公爵の城の武器庫にはとても忍び込めないけど、アズが暮らす屋敷の武器庫ならなんとか忍び込めた。
ちなみにわたしは、その屋敷の離れに、部屋をもらって暮らしてた。
腹違いの兄弟は数が多すぎて、名前や顔どころか人数すら把握してないけれど、アズだけはわたしの世話を焼いてくれた。
恵まれてると思う。父と会う機会がなくても、特に不自由はなかった。
従者になってくれたウリはいい子だったし、アズがいてくれたから寂しさも殆どなかったもの。
(屋敷を抜け出す時、アズに見つかったのは予定外だったけど)
でも、ついてきてくれるんなら心強いって思ってる。何だかんだ言っても、アズはやっぱり、頼りになる「にいさま」だもの。

「これはウリ用の武器ね。小さくて軽いから、扱いやすいと思うの」
わたしは抱えていた布の包みを広げて、そこから小さなナイフと短剣を取り出して、ウリに渡す。
「はいー」
ウリが小さなナイフを懐にしまって、短剣を腰に提げる。鎧はないけど、ウリは本体が魔竜だから、鱗がそのまま強固な鎧だ。人の姿をしていても、滅多な事じゃ怪我なんてしないの。
これで、小さな騎士のできあがり。

アズが不思議そうに、地面に広げた布の上の品々を見た。そこにはまだ、武器や道具が色々転がってる。
実は何が良いかわからなくて、自分で持ってこれそうな物を適当に詰め込んだのよね。
ウリは従者の嗜みとして剣術を習ってるって知ってたから、実用的な飾り気のないナイフと、細かい細工の綺麗な短剣ってすぐ決められたけど、肝心の自分の武器はどれにすればいいのかわからなくて、本当に適当に見繕ってきた。

「ユエは何の武器にするの?」
「そ、そうね。わたしはこれにしようかしら」
アズに問われて、どうしようと悩む。布の上には、持ち運びしやすいような軽くて小さな武器が転がっている。わたしはその中から黒い鞭を手に取った。

「鞭?」
「ええ。だって、お嬢さまといえば、鞭でしょう?」
「違うよユエ。女王さまといえば鞭、だよ。お嬢さまと鞭は何の関係もないよ」
「ええっ!? そうなの!?」


わたしはショックで、鞭をぽとりと地面に落とした。



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