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オリジナル創作ブログです。ジャンルは異世界ファンタジー中心。 放置中で済みません。HNを筧ゆのからAlikaへと変更しました。
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我が道だけを行く冒険記 目次

「我が道だけを行く冒険記」
ジャンル:異世界落ち冒険ファンタジー
最新更新日10.04.24 12、人間関係を潤滑にするのって多分一番難しい(前半20日、後半24日)


1、無意識下の願望が曝け出された結果(10.01.23~10.01.24)
2、冒険に心ときめき憧れる(10.01.24)
3、所詮天然の美しさには遠く及ばず(10.01.28)
4、覚えなければならない事が山とある(10.01.29~10.01.30)
5、世界の毒と祝福と(10.02.01)
6、孤独を怖れる程の愛情など知らないのに(10.02.04)
7、日本人の取り柄は勤勉さだ(10.02.11)
8、穴を掘って埋まりたい反省会(10.02.19)
8.5、皿洗いや皮むきの技術が向上した(10.03.17)
9、まずは武器を選ぶ所から(10.02.26~10.03.02)
10、愛が重いと思うのは私だけか?(10.03.21)
11、科学兵器は妖精によって駆逐され(10.03.31)
12、人間関係を潤滑にするのって多分一番難しい(10.04.20~10.04.24)


現代日本から突然、魔法と科学が融和する異世界『クロヴァーシュ』に落ち、更には性別まで変わった輝星は、「キーセ」という新たな名で、あくまでもマイペースに、冒険者を志す。


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1、無意識下の願望が曝け出された結果

駿河輝星(するがきせい)。それが私の名。
名前の由来は、「輝ける星のような人となれ」という願いをこめて、両親がつけたそうだ。
だが私は現在、両親より授かったこの名を名乗っていない。

キセイ・スルガと自分の名を横文字にして、更に一工夫加えて、「キーセ・イースルーガ」と名乗っている。(本名の間に「ー」を増やしただけの簡易偽名だけれど、音の響きがキレイな気がして、私自身は結構気に入ってる)

勿論、わざわざそんな偽名を名乗るのには、ちゃんとした訳がある。

実は、ここは……私が生まれ育った日本でもなければ、地球ですらない異界の地なのだ。


そんな異世界で日本名を名乗っても悪目立ちしてしまう。
そして、「キセイ」よりは「キーセ」の方が、こちらでは違和感のない発音のようなので、私のこの世界での名前は「キーセ」になった。


魔法と科学が融和した発展を遂げた世界、『クロヴァーシュ』。
それが、私が落ちた世界の名前。
魔物、精霊、妖精、竜、エルフなど、様々な「人外」の生物が、架空ではなく現実として存在する、まんまRPGな世界だ。


「異世界から落ちてくる人は、数は少ないですが、それ程珍しくはないんですよ。過去に何度も前例があります。この世界は特に、異界からモノが落ちてきやすい条件が整っているようでしてね」
と、私にこの世界の事を教えてくれているクロス教官が言う。

「それよりも、こちらに身体を馴染ませる為の『理想の泉』に浸かって、女性から男性に変化した人の方が、よっぽど珍しいです」
とも付け加えられた。


…………言われなくても私だって、自分で自分の身体の変化に、途轍もなくびっくりした。
地球で19年間、女として生きてきたのに、まさかこれからは異世界で男として生きていくハメになるなんて、思ってもみなかった。

別に自分では、女である事に不満があるとか、男になってみたいとか、思い描いてはいなかったのに。

そりゃあ、月の物は重くて頭も腰もお腹も痛く、毎月うんざりしていたし、男の子って身軽でいいな、くらいは思っていたけれど。
化粧とかお洒落とか面倒くさいなとか、若い女としてはかなり終わった事を考えた事もあるけれど。
それでも、本気で女としての自分を捨てていいとまで思ってはいなかったと、自分では、思っていた、のだが。

……ああ、無意識って恐ろしい。



『理想の泉』とはその名の通り、自分の理想に近づけるように、願望を汲み取りつつ、この世界の法則に沿って身体を調整してくれ、更には潜在能力(魔力とかそういうの!)まで引き出してくれるという、とても便利な異世界溶け込みアイテムである。

私はこの世界に落ちてきた当初は女だった。普通に。
そして、泉に浸かれば免疫がつくとか若さが保てるとか寿命が伸びるとか、元の自分からかけ離れた姿にはなれずとも、少しは理想に近い姿に変化できるとか、魔法が使えるとか!
とにかく良い事尽くめなのだと聞いて、はりきって泉に浸かった……その結果、以前の自分よりもちょっと顔や体型が良い、17歳くらいの外見の男になってしまったのである。

つまり私は無意識下で、男になりたいと、よっぽど強く願っていたらしい。




そんな訳で、この先、ここ『クロヴァーシュ』で生きていく予定の「キーセ・イースルーガ」は、性別・男(中身は元・女)、なのである。

自分の身に起きた出来事でさえなければ、「一体どんなタチの悪い冗談だ」と笑ってやりたい所だ。
―――――まあ、実際に事態を理解した時には、パニックを通り越して、乾いた失笑しか出なかったのだけれども。


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