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オリジナル創作ブログです。ジャンルは異世界ファンタジー中心。 放置中で済みません。HNを筧ゆのからAlikaへと変更しました。
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「明日、花が咲くように」 六章 2

「でも、孤児院の運営資金が少なく、遊具にまでは手が回っていないのは事実だね」

不吉眼が馬鹿長兄を庇うような発言をする。馬鹿とは仲が悪いのに、何を余計な口出しをしてくるのか。
あの馬鹿と同じく、孤児の子供たちに情でも移ったか。くだらない。
下々の民と関わりすぎて、王族の威厳をなくしている馬鹿と同列なのが僕の副官だと思うと、心底から苛々する。
僕は書類をバサリと払って、机を強く叩いた。

「運営資金にも欠く有様だからこそ、資金は少しでも堅実に遣うべきだ。遊具などに金を掛けられるかっ」
「君よりも幼い子供たちが遊び道具のひとつもないなんて、不憫だと思わないかい」
「遊ぶものよりも、まずは衣・食・住と教育だ。そちらにまで手を回す余裕はないわ」

まるで話にならない。金は無限に湧いてくるような代物ではないのだ。
どこかを削らねばならないのなら、優先度の低いものから削っていくのは当然の話だ。

王都だけでなく、国土全体に散らばる孤児院への補助金が、毎年どれだけの額になっていると思っているのか。
これも財務官なのだから、当然内訳は知っているだろうが。

「なら、国民に触れを出して、古くなった遊具の寄贈を募って、それを孤児院に配布するというのはどう?」
「む? 寄贈があればの話だが……、悪くはないな」

ふむ、と考え込む。
所詮はお坊ちゃん育ちである愚兄その3が、具体的かつ建設的な案など出すとは思わなかった。

「おや。まさか、本気で検討されるとは思わなかったな」

僕が意見に耳を傾けたのが意外らしく、不吉眼がまたたきをした。自分で提案しておいて、なんて無礼な。

「僕だって鬼じゃない。予算を割ける余裕があるなら、検討くらいはするぞ。王侯貴族の浪費を抑え、その分だけ貧しい者へと配当するのは、財務官として果たすべき役割だ」
部下には鬼長官と、もっぱらの評判だけど
「そんな無礼な事を言うのはどこのどいつだ不吉眼。探し出して連れてこい。今すぐ石化してやるぞ
「さあ、単なる噂だしねえ」

不吉眼が視線を逸らす。
これの周りにうじゃうじゃいる精霊どもが、僕の力を警戒する気配がして鬱陶しい。
所詮、半透明の言語も持たん種族のクセして、この僕を威嚇するとは、無礼にも程がある。

「馬鹿兄の要望は、財源確保がなっておらず現実味がなかったから却下したが、寄贈ならば、そんなに予算を喰わずに検討できるだけの余地があるな」
「それは良かった」
「問題は、国内にあるすべての孤児施設に送れるだけの寄贈品が集まるかどうかだが……」

最初に期間を明示して国内全体から広く寄贈を募れば、ある程度は数が集まるかもしれない。
確実性はないが、ある意味では堅実な案だ。もし一つも集まらずに失敗しても、こちらには痛手がない。



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