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オリジナル創作ブログです。ジャンルは異世界ファンタジー中心。 放置中で済みません。HNを筧ゆのからAlikaへと変更しました。
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世界観について

世界観について



・「惺界:セルフィーダ」人が暮らす世界

人間の他にも、多種多様の生物が暮らす世界。
こちらの世界には幻獣と呼ばれる生物がいるが、言葉を解するような幻獣はおらず、惺界種の幻獣と垓界種の精獣には大きな隔たりがある。


スノウ「私たちが暮らす世界です。竜や妖精もいるんですよ」
クラフト「グリンローザの黒薔薇騎士団では、陸では走竜を、空では飛竜を騎竜として扱っています。白薔薇騎士団では、馬やペガサスを騎馬の主流にしています。竜は鱗が硬く牙も鋭いので強力な戦力となりえますが、飼いならすのが難しい種ですから。市街地戦などでは小回りのきく馬の方が、却って動きやすいですしね」
スノウ「クラフト師匠は軍隊について詳しいのですね」
クラフト「以前は軍に雇われて戦争に参加していた身ですからね。ちなみにグリンローザは海に面していないので、水軍は存在しません」
スノウ「なるほど、勉強になりました」

(*クラフト=スノウの三番目のお師匠さま)



・「垓界:ラエルシード」隣の界、魔力溢れる世界

惺界に比べて非常に魔力の濃い世界。精獣の楽園。
魔力の弱い人の身では世界に満ちる魔力で圧死する危険がある。奥に行く程魔力は濃くなり、存在もまた強く高位なものがひしめく。


ヒース「ラエルシードは魔力の少ない者にとっては危険な世界だ。そこに住まう精獣も人に好意的であるとは限らないしな」
キーリ「召喚」
ヒース「そう。召喚術によって契約を交わした精獣は、主の命に逆らう事ができなくなるから、周りに危害が及ぶ心配はいらない。だがそれも契約が生きているからこそであって、拘束力がなくなると制御が利かなくなる可能性がある。そのような危険を伴う存在だからこそ、見習いの内は独自で召喚術を試すのを禁止されているのだ」
キーリ「……」(黙って頷く)
ヒース「ちなみに精獣は「垓界」や「惺界」といった呼称を使い、魔術師はラエルシードやセルフィーダといった呼称を使う。それについては精獣と魔術師の認識の違いとも言えるが……。キーリ、おまえ、もう少しまともに喋れ」
キーリ「?」(黙って小首を傾げる)



・「零界:ソルドレイク」魂だけが行き着ける世界

物質の存在しない、霊的存在だけの世界。
魂は死後ここに行き着き、輝きを取り戻すまで休養し、また下の世界へ、器を得るために降りてゆくと言われる。
生身で辿り着くのは不可能な上層にあると言われ、生前には最も遠い世界でもある。


エディアローズ「死後どうなるかは宗教によって世界観が違うから、様々な語られ方をしているらしいね。生きている者にとっては、真実は知りようがないと思うけど」
カリク「私の故郷では、零界には天国と地獄があり、生前の行いによって死後の行き先が変わると言われておりました。また、零界で修行を積んだ魂は神へ昇華すると信じられている宗教もあると、小耳に挟んでおります」
エディアローズ「へえ、本当に諸説様々だね。グリンローザは精霊に感謝し、自然と調和するのを勧める教えはあるけれど、国教と呼べるような大規模な宗教はないからね。そういう話には少し興味があるな」
カリク「エディアローズ殿下は勉強熱心であられますな。宗教とは、時には、人の心や行動に大きな影響を与えるものです。それらを学ぶのも、良い経験になるやもしれませんな」

(*カリク=ヒースのお屋敷の執事さん)



・「腐界:ファロシハム」瘴気が漂う恐ろしい世界

魔物や魔族の住む世界。瘴気が漂い、人がそれを吸い込むと体内が毒に侵される。
殺伐とした弱肉強食の世界だという。惺界より下層にあると言われる。


エクスカイル「腐っているから腐界だ!! ちなみに気違いがよく使う黒魔術との関連が深い世界でもあるぞ。生贄などで召喚する魔物や魔族が住むのが、この腐界だからな!」
アルフォンソ「腐っているのはそなたの頭だ」
エクスカイル「何を言うか、この気違いが!!」
アルフォンソ「くくく、ははははは!」


「明日、花が咲くように」 目次へ


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「明日、花が咲くように」 十四章 3

「アライアス。彼らが今回君をサポートしてくれる「裁きの手」の者たちだ」


月長石の賢者であるランディーノ・カル・ネルが、後ろに二人の者を伴って、僕のいる資料室にやってきた。
カル・ネルは森の妖精であるエルフ族の出身で、両耳が長く尖っており、銀髪に緑の瞳をしている。
僕が協会本部に留学していた頃、同じ賢者の立場である事もあって、彼とはわりと親しくしていた。
彼は物静かで誰にでも人当たりが良いが、芯はしっかりしており、いざという時頼りになる、信頼できる相手だ。

そのカル・ネルが連れてきたのが、これから僕に同行し共に調査をするという「裁きの手」の者たちらしい。僕はそちらの二人とは初顔合わせだ。
僕がこの本部に留学に来ていたのは数年前の話だし、留学期間も三年程度と短かったのもあって、すべての魔術師と顔見知りではない。
その中でも特に、最高幹部直属の「裁きの手」の者たちは、裁きの対象となりうるすべての魔術師に対して厳しい情報規制がされている故に、直接会う機会はほぼないと言っていい。
彼らは通常は彼らだけで動くのが普通であり、今回のように、裁きの手以外の魔術師と組んで動く事は稀なのだ。


カル・ネルの後ろにいる二人の内、一人はケット・シーと呼ばれる獣人の一種だった。背丈は僕の腰くらいまでで、白い毛並みに琥珀の縦長の瞳孔の瞳をした、猫そのままの顔をしている。
また、顔だけでなく、ケット・シーという種族は体全体が猫のようで、大きな猫が服を着て直立歩行で歩いているという感じだ。

「こちらが「執行人」のハズ君」
「ハズっす。よろしくす」
カル・ネルの紹介を受けて、肉球のある小さな手を上げて、ハズが僕に自己紹介する。声からすると、性別は男のようだ。年齢は、人として換算するなら、恐らくは20代前半程度。
全体の毛並みは白いが、ゆらゆら揺れるしっぽとピクピク動く耳の毛先が青みがかっている。
(動物好きの女どもに受けそうな外見だな)というのが、僕の受けた第一印象だった。

獣人は総括的に魔術に疎いので、協会本部に獣人の魔術師がいるのは少しだけ意外だった。
というのも、獣人は戦闘本能が強い、肉弾戦を得意とする種が多いからだ。
だが、ケット・シーは獣人の中では知的な種族である。それに獣人の魔術師も、全体的に見ればかなり少ないのは確かだが、皆無という訳でもない。

「その烏うまそうすね。喰っていいすか」
僕の肩に乗っていた烏を見てキランと眼を輝かせ、しっぽを揺らめかせるハズに、僕の使役である三羽烏の一羽であるガレットが、「いい訳あるかーっ」と声を荒立て、羽を広げて威嚇した。

「精獣を喰おうとするなど、非常識な」
「冗談す」
僕が冷えた眼差しで一瞥すると、ハズは両手を振ってみせる。執行人という職務についているにしては、やや軽い性格の持ち主らしい。

「そして、こちらが「断罪者」のリリーさん」
「……リリーです」
(女、か)
性別に真っ先に反応してしまう辺り、やはり僕は相当の女嫌いだ。
カル・ネルの紹介で僅かに頭を下げたのは、ハズとは対象的に寡黙で落ち着いた、大柄な女だった。僕と同じ黒髪黒目をしている。
まあ、協会本部には世界中から様々な人種や種族が集まるので、グリンローザでは珍しい黒髪黒目も、ここでは珍しいものではない。人でない種族の割合が半数を占めるような場所なのだ。髪や眼の色の違いなど、些細な事として片付けられる。

リリーという女は、僕と目線が合う程に大柄な体躯で、背中に身長と同じ程の長さの、大きく幅の広い剣を背負っていた。服装も動きやすいズボンに黒の革鎧を着こんでおり、魔術師というよりは戦士のような装いだ。
眦がきつく吊り上っており、その切れ長の双眸と固く引き結ばれた唇、そして青白い肌からは、鋭く冷たい印象を受けた。

「ハズ君、リリーさん。知っているだろうが、アライアスは金緑石の賢者。精霊魔術の一大国であるグリンローザ一の魔術師だ」

カル・ネルから改めて紹介されるまでもなく、彼らは僕の事を知っているだろう。
それは僕が有名だからではない。「裁きの手」の者たちは、自分たち以外の魔術師を、同僚としてではなく、「監視対象」として見るのだから。
しばらくとはいえ、行動を共にする魔術師の情報を調べていない訳がない。

「彼らはその任務の特殊さ故に、詳しい経歴や本名を明かせないが、有能な人材だというのは私が保証しよう」

初対面である僕と彼らの間で、カル・ネルが静かに微笑む。控えめながらも他者を説得する力のある、独特の微笑みだ。
エルフは人の何十倍のも寿命を持つから、若く見えてもカル・ネルは、ポロックル族のフロイトよりも更に長生きしている。その分、滲み出る威信のようなものがあるのだろう。

「私はここで情報収集をするようフロイト殿から言われているので、本部からは動けないんだ。なのでその分も、君には手掛かりがありそうな場所を、積極的に回っていってほしいと思う」
「わかっている。元よりそのつもりだ」

僕は頷き返す。
今回の精獣の行方不明事件では、参議のフロイトが総責任者となり、人材をどう動かすのか決める事となった。そしてカル・ネルはその補佐として、本部に詰めなければならないという。
現場で動く者を統率するのが彼らの、そして実際に手掛かりを探すのが、僕と裁きの手の者たちの今回の役割という訳だ。
勿論、僕らの他にも、多くの魔術師が事の解決の為に奔走している。

契約によって精獣を使役する魔術師にとって、精獣との関係……ひいては、このセルフィーダとラエルシードの関係を良好に保つ事は、とても重大な課題だ。
人と精獣の関係が悪化すれば、召喚術という四大魔術の形態が崩れるだけでなく、世界の均衡そのものが崩れかねないからだ。

魔術師とは、世界の均衡を正しく保つ役割を負った存在でもある。
自分たちの住む世界の中の均衡、別の世界とこの世界の均衡を保ち、支える柱の一つなのである。
……鳥の姫の話によれば、消えた精獣たちはことごとく魔術師によって召喚され、そのまま「戻ってこない」のだという。
だとすれば、均衡を保つ役割を持つ魔術師が、逆に均衡を乱すような真似をしている可能性が高いと言わざるをえない。
ならば尚更、魔術師の犯した過ちは、魔術師の手によって始末をつけなければならない。

今回の件が長引けば長引く程……被害が大きければ大きい程に、魔術師は精獣からの信頼を失っていき、世界の均衡は乱される。
なんとしても、早期に解決しなければ。



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「明日、花が咲くように」 十四章 2

翌日、僕がグリンローザ支部から道を使って本部に赴いた時には、既に支部長から粗方の事情は伝わっており、対策本部が設置され、魔術師の緊急招集の手配に入っていた。
僕は今回の事の詳細を報告した後、自らも調査に参加すべく、情報の洗い出しの為に、資料室の一室に篭った。


「アライアス、随分と大掛かりに動いているようだが?」
「フロイト殿」
一人の幹部が、小さく丸い鼻眼鏡を押し上げて、僕を見上げて話しかけてきた。

――――ステファン・フロイト。
彼は、魔術師協会の最高幹部の一人である。

身長は僕の膝丈程度しかない幼児のような見た目をしているが、彼はポロックル族という小人族なので、これでも成人している。
ポロックル族は人の倍の寿命を持ち、幼児から老人まであまり見た目が変わらない種族だ。
潜在的な魔力も強く、多くの有名な魔術師を排出してきた種で、フロイトも現在、「瑪瑙の参議」という、極めて重要な立場にある。

魔術師協会は、八人の長老と六人の参議を合わせた十四人を「最高幹部」と定めており、協会本部は彼らの手によって運営されている。
魔力が溜まる土地に建てられた八つの「理力の塔」を管理するのが長老であり、険しい山脈の中腹にある協会総本部、「水晶宮」を管理するのが参議の仕事だ。

僕のように、「賢者」の称号を持つ者は、最高位の力を持つと認められた者で、協会が「これだけの戦力を有している」と他者に示す、わかりやすい権威の象徴でもある。
当然賢者にもそれなりの権限はあるが、立場的には最高幹部に従わなければならないのは変わりない。

「君、協会内部に裏切り者や内通者がいるとは、考えてないのかね?」
「随分と物騒な発言をされる。最高幹部の身でありながら、フロイト殿は身内を信じておられないので?」
僕は眉を顰めて、不穏な発言をする幹部を見据える。
これから協会が一丸となって敵を洗い出すという時に、外敵ではなく内敵の存在を仄めかすとは。
まるで、内部に裏切り者がいるのを前提にしたような話し振りは問題だ。最高幹部がこのような発言をしているのを聞かれれば、協会全体の結束を揺るがしかねない。

(確たる証拠があるならともかく、憶測の段階で口にすべきものではないだろう)
僕が眉を顰めたのを面白そうに眺めて、フロイトは嫌な含み笑いを洩らした。

「くっくっく。不穏な種というのは、えてして足下にこそ燻っているものなのだよ。ここまで事を公にしてしまっては、よからぬ考えを持つ輩が出るやもしれない。精々、足を引っ張られないようにする事だね」
「ご心配なく。目先のものに惑わされ、魔術師の本分を忘れた輩に容赦するつもりはありません」
「では、金緑石の賢者のお手並み、とくと拝見させてもらおうか」
フロイトは幼児のような柔らかな頬に、まるで似合わない悪辣な笑みを浮かべる。僕はそれに、内心で苛立ちを覚える。
(まったく、僕のやり方を傍観している場合か!?)

今回の件が、魔術師全体にとって極めて重要であるとわかっていないはずがないのに、傍観の構えを見せる幹部を、僕は無言で睨んだ。

「若いな、アライアス。そう怒るな。こういう大掛かりな調べ物は、まずは若者に任せ、年寄りはしばし遅れて参戦するくらいでちょうど良いのだよ。とりあえず君には、「裁きの手」を一組つけるから、調査に同行させてくれたまえ」
「裁きの手を?」

その申し出に、僕は思わず聞き返していた。

「執行人」は長老直属の部隊を、「断罪者」は参議直属の部隊を指す。
彼らは常に「執行人と断罪者」という組み合わせで世界各地に散らばり、罪を犯した魔術師や、資格を持たずに力を乱用する堕術師の監視や断罪を行う。……それらを総称して「裁きの手」と呼ぶのだ。
彼らは最高幹部より独自の権限を与えられており、場合によっては、現場で罪人を殺す権限も持っている。確かに今回の件が魔術師によって行われているものならば、彼らが仕事に携わるのは不思議ではないが……。
幹部直属部隊をわざわざこの僕につける意図は、本当に調査だけが目的か?

「つまり、この私の監視ですか」
「おや、アライアスは随分と捻くれた思考回路をしている。ただの親切心とは受け取ってくれないのかね?」
「先程の話の直後にその申し出では、そう受け取れと言っているようなものでは?」
「ボクはこれでも、君の事を信頼しているのだがね? 君の生真面目さは、よく知っているつもりだからね。……だがまあ、ボク以外の幹部の意向は知らないが」

二時間後には彼らをこの部屋に寄越させると言い置いて、フロイトは飄々とした様子で去って行った。

(敵が、どこにいるのか――――、か)
先程までは外敵にばかり目を向けていたが、案外、内敵の方が厄介かもしれない。最高幹部の油断ならない物言いに、僕は深い溜息をついた。



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