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オリジナル創作ブログです。ジャンルは異世界ファンタジー中心。 放置中で済みません。HNを筧ゆのからAlikaへと変更しました。
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主要登場人物プロフィール

主要登場人物プロフィール
(本編十一章・年明け時点)異世界ですが12星座適用


【スノウ・シズヴィッド】
実年齢17、外見16
銀髪・青い瞳
11月26日(いて座)生まれ、A型

強気で口が減らない。熱意と根性を掲げる魔術師見習い。薬剤師の免許も持ってる。
ブラコンで恋愛より家族愛。魔術師への憧れは人一倍。4歳から独学で魔術を学び始める。
魔力総量は、魔術師としては平凡。魔力性質が「変質」なせいで、精霊に避けられがち。
研究分野は「変質」と「節約」。倹約上手。
家政婦をしていただけあり、料理は上手。掃除も得意。
容姿は平凡と本人談。周囲はわりと可愛い、または平凡と判断。
胸がないスレンダー体型。色気もない。
化粧は代金がもったいないのでしないが、平凡だからこそ化粧で化ける可能性も?


【ヒース・アライアス】
実年齢26、外見20
漆黒の髪、漆黒の瞳
9月7日(おとめ座)生まれ、AB型

天才で金持ちで超絶美形の魔術師。スノウの師匠。女嫌いで口が悪い。
幼少時から天才の名を欲しいままにしてきた魔術の申し子。多方面の研究に携わる。
親の遺産も多く、研究で得た資産も多い、正真正銘のお金持ち。
特許を大量に持つ金の成る木。
片親は他国出身。黒髪黒目はこの国では珍しい。
個人研究の他、国の研究機関にも出入りしていて、方々に知り合いが多い。
幼い頃は王宮に住み、宮廷魔術師長に師事していた。
何だかんだで面倒見の良い人。


【エディアローズ・ユリウス・グリンローザ】
実年齢25、外見18
淡い金髪、右目が水色、左目が紫色
3月28日(おひつじ座)生まれ、AB型

第三王子。「不吉王子」。
綺麗な女顔。素で女に間違えられる。
腹黒。精霊に過剰に溺愛される。
不吉と忌み嫌われる伝承を持つ色違いの瞳をしている。
黒薔薇騎士団所属の騎士であり、財務省の副官でもある。
周りに避けられて育った捻くれ者だが、兄弟の中ではわりとまともな性格かもしれない。
ヒースとは幼馴染みの友人。スノウの事も友人としてとても気に入っている。


【アルフォンソ・シアン・グリンローザ】
実年齢25、外見19
艶のある白い髪(クセの強い巻き毛)、深い紫の瞳
2月12日(みずがめ座)生まれ、AB型

第二王子。「凶王子」。
中性的な美貌。
右手の甲に刃物の傷痕、左の目じりに泣きぼくろ。
黒魔術と毒学に傾倒。精霊魔術も使える。親兄弟への嫌がらせが生き甲斐。
13歳頃に誘拐されて、10年後、23歳頃に戻ってきた。
公式には病で王宮を離れていた扱いになっている。
あまり害にならない黒魔術を多用する。
エディアローズとは年の差約一ヶ月違いの、腹違いの兄。


【エクスカイル・キャロル・グリンローザ】
実年齢13、外見10
青銀の髪、明るい灰色の瞳
12月1日(いて座)生まれ、A型

第五王子。「石化王子」。
人を硬直させ、石化させる特殊能力の持ち主。
ある事情から最高位の石の精霊と同化して生まれた。
怒りが爆発すると周囲を何でも石化しまくる、破壊力抜群な財務長官。
飛び級で大学卒業。博士号持ち。
毒舌で傲岸不遜。「死ね」が口癖。


【キーリ・ヒルカ・グリンローザ】
実年齢9、外見6
淡い銀髪、明るい灰色の瞳
9月25日(てんびん座)生まれ、AB型

第六王子。「無口王子」。末弟で王の末子。
魔術師の資格を持つ、宮廷魔術師の一人。
精霊魔術と召喚術が得意。
無口で、話す時も単語でしか話さない。
魔術の研究にしか興味がない? ヒースの実力と研究成果には一目置いている。
大学在学中。財務官の資格も取得している。


「明日、花が咲くように」 目次へ


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「明日、花が咲くように」 十一章 3

シズヴィッドに諭された翌日、僕はエクスカイルに謝っておこうと、あれの居住区を訪れた。

「こんにちは、ヒースさん」
「カロン」
エクスカイルの寝室で看病をしていた第四王子カロン・アールトールが僕に気づいて、顔を上げて挨拶する。

王家の九人兄弟の下三人であるカロンとエクスカイルとキーリは、同腹の兄弟だ。
巷で「温和王子」と呼ばれるカロンは現在十四歳で、眼の色は下二人と同じ明るい灰色で、髪の色はその二人の中間くらいの、やや青みがかった銀色をしている。
ドジで泣き虫で臆病だが、穏やかな性格をしており、エディアローズ以外の兄弟とは、それなりに仲が良い。
中でも特に、母親が同じエクスカイルとキーリの事をよく気にかけていて、マイペースすぎる弟たちに振り回されながらも、こまめに面倒を見ているようだ。
カロンは希少な白魔術の使い手なので、今回も治癒の為にここに来ているのだろう。
……もっとも、看病している当のエクスカイルからは「臆病者」と呼ばれ、何かドジを踏む度に罵られて泣かされているし、キーリは誰に対しても無口で淡白だし、カロンの兄としての配慮が報われているとは言い難いが。

「なんだ。言いたい事があるなら、あと三ヶ月待て。部下に再教育を施して、目にモノ見せてやるぞ」
寝台の上にうつ伏せに寝転がったまま、エクスカイルが分厚い本を読んでいる。本に視線を向けたまま、こちらを見ようともしない。
……その台詞から察するに、財務官を「使える」ようにする為の計画を、今まさに練っている最中なのだろう。
(ようやく激務を終えたばかりだろうが)
今更だが、あの場であんな事を言う必要はなかったと、苦く思う。
別の機会にもっと違う言い方をすれば良かった。これでは休養になっていない。

「謝りにきただけだ」
僕は微かに息をついて用件を切り出した。
僕のその言葉に、エクスカイルがあからさまに嫌そうな顔をする。
「間違った事を言ったと思っているのか」
「そうは思っていないが、言い方がきつすぎた」
「遠まわしに言おうが直球で言おうが、内容は変わらん」
不機嫌な表情をしたまま、本から顔を上げずに言い放つ。
……エクスカイルは決して、自分が納得していない事を、無理やりやらされるようなタイプではない。
だからこうして検討しているという事は、僕の言った内容を認めて、文句が言えないくらいまで徹底的に改善するつもりがあるのだ。
だが、忠言を聞き入れる度量があるのは良いが、まるで休養になっていない現状は困る。僕は何も、こんなふうに無理をさせたかった訳じゃない。

「休むべき時にはきちんと休むのも、上に立つ者の務めだ」
「……おまえは口うるさい」
「でもでもエクス、ヒースさんの言う事ももっともだよっ」
僕の言葉尻に乗って、カロンが握りこぶしで弟を説得しようとする。疲労は極限だろうに、頑固に休もうとしないエクスカイルに、ずっと手を焼いていたのだろう。何とか休ませようとカロンも必死だ。

本来ならこういう場面では、側仕えの者が主を休ませようと気遣うものなのだが、エクスカイルには側仕えの者が一人もいない。
親から見離されたエディアローズと違って、元は母がつけた側仕えがいたのだが、本人がそれらを追い出したのだ。
こいつは人の好き嫌いが激しい。そして、気に入らない相手には容赦ない。
気難しいエクスカイルの許容範囲内に入る相手は非常に少ない。


「おまえが休まないと、エディアローズが心配する」

本人の自覚はともあれ、端から見れば気に入っているように見える相手の名を出すと、エクスカイルがようやく、本から顔を上げた。



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「明日、花が咲くように」 十一章 2

「お疲れ様でした、エディアローズ殿下。こちらをお飲みください」
「ありがとうスノウ嬢。これ、薬茶なのにあまり苦くないね。結構おいしい」
「それは良かったです」
王子宮の自分の居住区に戻ってきて、エディアローズはシズヴィッドが差し出した薬茶を受け取って口に運ぶ。

エディアローズが仕事に戻ると言った時、シズヴィッドは相当怒ったのだが、「僕が行かないと、弟が無理してしまうから」と言われて撃沈し、僕を監視につけるのを条件に、渋々送り出したのだ。
弟を溺愛するシズヴィッドにとって、その一言は大打撃だったようだ。
こいつも同じ状況であれば、弟に無理をさせるくらいなら自分が無理をするという性格だ。それでは止められるはずがない。

ただ、シズヴィッドは王城には同行せずに、ここに残っていた。
王の居城まで行くとなればやはり、身分や服装やらに細かい規定があって、制限が厳しい。
僕はフリーパスで通れるが、シズヴィッドを連れていくとなれば、事前に細かい手続きが必要となる。
王城内は式典の準備でごたついていたし、僕らが財務の仕事をしている間、シズヴィッドには王子宮で昼間だけ待機させておいたのだ。


「師匠がエクスカイル殿下を叱ったと、エディアローズ殿下が眠り際まで、ずっと気にしていました」
エディアローズが寝室でシュシュとともに眠ったのを確認してから、シズヴィッドが居間に戻ってくる。
薬茶には睡眠を促す作用もあると言っていたから、エディアローズはすぐに眠りに落ちたようだ。
ようやく仕事が片付いたという安心感もあるだろう。

「僕は、正しいと思った事しか言っていない」
シズヴィッドが僕の返答に苦笑しながら、新たに二人分の紅茶を淹れる。
カップを一つこちらに差し出してきたので、それを受け取る。
「それでも、エディアローズ殿下が気に病む程度には、厳しい物言いだったようですが」
「……」
淡々とした口調で諭されると、沈黙するしかなくなる。これでは先程のエクスカイルと同じだ。
僕は正しいと思った事を口にしただけだったが、今思えば、大人げなかったのも確かだ。

実際、他の財務官は、異能の長官副官に怯えるばかりで、まともに仕事をしないらしい。それが子供の目に歯痒く映るのは当然だ。
部下の指導も、本来なら年長者の副官であるエディアローズが受け持つべき事柄だ。それをエクスカイルに押し付けるのは酷だった。
ただ、エディアローズはエクスカイル以上に周囲から避けられているので、それを行うのは到底不可能なのだが……。

(つまるところ僕は、友人を庇うあまり、エクスカイルに多くを求めすぎてしまったのか)
自覚と同時に、知らず溜息が零れる。

「エクスカイル殿下は兄君が倒れた後、ゆっくり休むように言い置いたのでしょう? そしてその分まで、ご自分が無理をされたとか。
エクスカイル殿下は殿下なりに、兄君を気遣っておられると思います」
「そうだな。……あれは、僕が言いすぎた」
シズヴィッドは責めるような言い方はせず、静かな声音で話を続ける。その声を聞いている内に僕も落ち着いてきて、素直に失態を認められた。

「エディアローズ殿下が熱を押して無理をするので、師匠も心配したのですよね」
「だが、あれも充分無茶をしていた。そこに追い討ちをかける必要はなかった」
冷静になってみれば、見えていなかったものも見えてくる。
自覚していなかっただけで、僕も疲労を溜めていたのかもしれない。きつい言葉を言いすぎた。

「後で一緒に謝りに行きましょうか」
柔らかく微笑むシズヴィッドの態度は、人を子供扱いしているようで腹が立つ。
事実、子供っぽい言動をしてしまった自覚があっても、年下の女からこんなふうに言われると、どうしようもなく居心地が悪くなる。
「子供扱いするな。謝罪くらい一人で行ける」
「そんなつもりはなかったのですが。……申し訳ありません」
謝りながらもくすくすと笑うシズヴィッドを、とりあえず睨んでおく。
どうも、今日はとことん子供扱いされているような気がしてならない。
案外こいつは、溺愛する本物の弟相手には、いつもこんな感じなのかもしれない。


……新しい年が明けて、王城では今頃、盛大な式典が開かれている真っ最中だ。
けれどここはとても静かで、時間の流れが穏やかに感じられた。

本来シズヴィッドは年始は休みの予定だったのだが、エディアローズを心配して、毎日ここに通っている。
その分、後でゆっくりと休暇を取らせなければ。



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